日刊 建設工業新聞 1983年4月27日号掲載記事より
   (日刊建設工業新聞「座談会」から転載)



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座談会「ディズニーランドのすべて(企画から建設 開園まで)

 日米共同の大規模プロジェクトとして実現した”東京ディズニーランド”はロス、フロリダにある本場のディズニーランドをしのぐ規模で、その内容においても一段と新しい技術・システムが採用されているという。どこが同じで、どこが違うのか。建設の記録を振り返りながら、世界で三番目の夢の国・東京ディズニーランドのすべてを関係者に語っていただいた。 

ディズニーの哲学を具現 <質、耐久性でも本場をしのぐ>

司会)アメリカ以外で初めて、世界で三番目の夢の国・東京ディズニーランドが日本に誕生しました。その内容、スケールともに本場のディズニーランドをしのぐものだということです
・・・・ (中略)
司会)松本さんから25ヶ月という工期は日本のすぐれた技術があったからできたと思うというお話がありましたが、クライアントさんの基本的な方法なり理念を受け入れて、それを具体化するのが設計者のお役目だったと思います。25ヶ月で建設するにはどういう形で進めたらいいのか、この辺が設計監理の担当者としては一番心労なさった点ではないかと思いますが・・・。

及川)この工事にはいくつかの特徴、留意した点がありますが、一番大きいのは、アメリカに実物があって、それと同じように、あるいは、それ以上のものをつくる、ということが普通の仕事とは違っていた。
 向こうから設計のスタッフもお見えになっていますが、向こうとは法的な条件がまるっきり違うし、気候的な条件も違う。そういう中で同じにつくるには、向こうのやろうとしている、いはばディズニー・フィロソフィーを具現化していくということをいつも頭に置いていないと道がはずれてしまう。
 そういう中で、大きい点では全く向こうと同じですが、細かい点では日本化の作業がかなりあって、いろいろな工夫や開発がされていったわけです。例えば、変更にしてもどこを変更したらなりたたないか、どの寸法が一番大事か、そういったことをゼネコンさんもわれわれもいつも頭に置いていなければいけなかった。
 一つには工期の問題があって、実施設計の中で基本的な部分は建設段階ではできていなかったわけですが、ディテールの部分にわたって、それからいろいろ細かい仕様方法等による取り合いについては、建設を行いながら、いつも設計が同時に進んでいた。通常の仕事でもそういったことはありますが、今度の仕事では同時に設計していったという部分が通常の仕事より大きなウエートを占めていた。

司会)施工業者の方も設計の部分まである程度参加せざるを得なかったということですか。

及川)ゼネコンさんもサブコンさんも極端な場合には職人の方々も含めて一緒に考えないと解決できない部分もありました。できないとなると、またその部分を変えていかなければならなかった。その変えることについては常にディズニー側と協議しました。
 もう一つ我々が留意したのは、発注者はオリエンタルランドさんで、そこには予算がある。しかしクォリティーについて、こうしなさいという。デザインについてはディズニープロダクション側にあった。その間の問題、例えばディズニーから言ってくるレベルより上げなければ、日本では使い方が無理だというような、場合によっては向こうよりハイレベルのものにするにも、かなりの交渉が必要だった。
 逆の場合は、ディズニーにとっては、いままでつくってきた二つのパークを踏まえて、そこでまずかった点を改良していいものをつくろう、というのが彼らの課題だったものですから、いろいろな意味でコスト的な問題もあった。
 もう一つ留意した点は、この施設が年間1,000万人の入場者を見込むということで、日本でこれだけ大ぜいの人が入る施設は、これまで万博とか国鉄の駅舎のように限られた施設だけで、これだけ酷な使用頻度に耐える施設はなかった。その辺、ディズニー側のノウハウも参考になりましたが、細かい部分は国鉄さんの資料がいろいろな意味で役立った。
 それ以外に安全性、耐久性の面で検討しなければならない部分がかなりあった。そのところは十分注意しながら設計、あるいは建設にかかったんです。
 先ほど松本さんからお話があったように、孫請まで入れれば1,000社を越す会社が建設に参加していますし、計画の段階でもエレクトロニクス、音響、土木、造園、機械と、多くの専門分野にわたる仕事があったので、工期とそれぞれのからみの部分での検討、特にほとんどが建物の寸法、機能にからんでくるので、どこかに落とし穴、キャッチボールがないように調整する、というのが留意した点、課題となった点ですね。

司会)米国はフィートとインチの国、こちらはメーターですね。それから法的な違いで一番大きいのは消防法じゃないかと思いますが、その辺の問題はどういう形でクリアされたのですか。

及川)一番大きいのは消防法と建築基準法だと思います。公式の議事録を見ると、県の建築指導課とは70回、消防とは90何回の会議をやっています。
 今度の場合、現行法規に沿った形で解決して、建築基準法38条の特認の申請は出しておりません。現行法規に沿う形で何らかの対処をしていった。例えば、耐火建築だったら隊かの壁をつくって、それには仕上げだけをつけていくという形をとりました(笑い)。
 消防法にしても同じです。法規の法文どおりではなく別の方法があり、その精神がある。常にそれを満足させるために、代替措置としての設備あるいは工法をとった。目に見えないところ、下地に入ってしまうところには代替措置で満足させたいったが、それでも解決できないで、最終的にどうにもならなかったのは、誘導灯などの非常照明の解決がつかなかった。
 消防法はかなり変ってきまして、ディズニーさんのフェーズ1、フェーズ2の最初の方では誘導灯はもっと小さかった。途中から大きくなった。来年また変るようです。いまのところディズニーさんには、また代わりますから、ということで今の大きさは認めてもらっている。

司会)日本の法規は向こうと比べると厳しいので、そんなにやる必要はない、というような話もあったんじゃないですか。

及川)向こうにも消防法なり建築基準法に近いものはあるんですが、もっとわるい。しかもそれは州とか市の単位でやっているんです。
 日本は国なり地方自治体なり公的に認めてもらったものに規定されますから、その辺についてアメリカ側との交渉、こうしなければ出来ない、その精神はこうだ・・・というような説明がかなりありましたね。
・・・・(中略)
司会)この敷地が埋立地ですから、当然地盤改良をおやりになっている。

及川)基本設計の段階で基礎の位置が出ると、そこにサンドコンパクションパイルとかグラベルパイルを液状化対策としてやった。4社のゼネコンさんが受注した段階では一部を残して終わっていましたね。地下のある部分についてはサーチャージを大規模に行っています。
・・・・(後略)

 

   

 

 

 

 

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